2013年04月30日

「封印再度」

森博嗣さんの「封印再度」です。

岐阜県恵那市の旧家、香山家には代々伝わる家宝があった。
その名は、「天地の瓢(こひょう)」と「無我の匣」。
「無我の匣」には鍵がかけられており、「天地の瓢(こひょう)」には鍵が入っている。
ただし、鍵は「瓢」の口よりも大きく、取り出すことが出来ないのだ。
五十年前の香山家の当主は、鍵を「瓢」の中にいれ、息子に残して自殺したという。
果たして、「匣」を開けることが出来るのか?
興味を持って香山家を訪れた西之園萌絵だが、そこにはさらに不思議な事件が待ち受けていた!

 わたしには密室殺人より「天地の瓢(こひょう)」と「無我の匣」の謎がとても強烈で、ずいぶん考えました。この謎は専門的な知識が必要で、実験をされた方がいて、このことを証明されたと知り、ビックリしたのは最近のことです。ネタバレになるのでこれ以上は書けません。が、一級品の本格で、N大助教授 犀川と萌絵の恋が大きく転換するのも本作の魅力一つで、存分に味わうことが出来る。

 森 博嗣さんは「すべてがFになる」で第一回のメフィスト賞を受賞。このエピソードが面白いのだが書くスペースがないのが歯がゆい。知りたい方はウィキペディアでどうぞ。

 これはS&Mシリーズと云われ10作品があり「封印再度」はシリーズ五作目となる。わたし的にはこれと「笑わない数学者」が一番好きだ。

 森博嗣さんの作品のほとんどが密室物で、自身がN大工学部助教授なので、理系のミステリーと呼ばれる。S&Mシリーズの他に瀬在丸紅子が探偵として活躍するVシリーズが10作品ある。その他のシリーズもこのS&Mシリーズを基幹として派生してリンクをしている。全てを読むことにより森ワールドを満喫できる。瀬在丸紅子の物語は20年ほど前の物語だが、犀川と萌絵には瀬在丸紅子の存在は大きく、深く関わってくる。そのためVシリーズは重要なシリーズなのだ。

 女性探偵は日本では少ないと思っているが(海外は知らない)わたしの好きな女性探偵1位はフランス人形のような瀬在丸紅子。2位は可愛いお嬢様西之園萌絵。3位はクールな美人の二階堂蘭子だ。
そしてあと一人加えたのが石持浅海さんの碓氷優佳だ。頭脳明晰で全てを見透かしている。怖い女性で、知り合いにはなりたくない。でも凄く魅力的な女性だ。

 森博嗣さんは考えている長編を書き終えたら引退をすると明言した。今は新作が出ない。もうミステリーを書いてくれないのか?すこぶる残念だ!


    syun  

Posted by 黒江の町並み景観づくり at 23:16Comments(0)推理小説